バッジテストを取り巻く環境2(普及元年2008年)

 前回書いたように、普及元年以前には、競技向けの指導法は確立されておらず、競技コーチのいるクラブにはいれば、トランポリン競技者向けの指導、それもコーチ独自の指導法を受けることになり、コーチではなく普及指導員のいるクラブに入れば、こどもの素養づくり向けのバッジテストの練習指導がなされ、トランポリン選手になるための道は開けないような状態になっていました。

 もう1つ大きな問題がありました。本来トランポリン・エアリアルトレーニングはトランポリン競技のための練習法ではなく、こどもの素養づくり、体幹トレーニングや調整能力トレーニングのための練習方法です。だからすべての児童に受けて、メニュー終了後はそれぞれが進みたいスポーツへ進んで頂くことを目的としていました。これは日本トランポリン協会が他のスポーツ協会と異なる点です。

 しかし、指導メニューが整備されなかったため、他のスポーツ指導者からすると広く集めて、優秀な子をトランポリン選手に抜き取るようなシステムのようにみえ、他のスポーツをする子に採用されにくいものとなっていました。

 そこで普及元年では3つの大きな改正が行われました。まず、競技者向けの指導法を作成したことです。もう1つはエアリアルトレーニングに、ボールトレーニングを取り入れることにより、他のスポーツへより転用できるトレーニングへと進化させたことです。

 競技者向け指導法ができたことにより、個々のコーチの指導法ではなく、日本全体で選手を育成し、国際競争力を高めることができるようになりました。また、競技者向け指導のうち、宙返りを含まない段階までの指導も普及指導員の指導範囲に含めることにより、競技コーチのいないトランポリンクラブに入会した子供でもトランポリン選手への道が開けることになりました。さらに、エアリアルトレーニングとの違いが明確になり、バッジテストがトランポリン選手育成のためのものではないことを他のスポーツ指導者にアピールできるようになりました。