余談2 法的な面からみた普及指導員(1)

 生徒が怪我をした場合、指導者に過失があれば、過失責任が発生します。指導者に過失がなければ、指導者の責任を問われることはありません。

 一般に危険なことに対して法律は制限をしています。たとえば、手術を行うには医師免許が必要となっています。だれでも他人の体を切ってよいとはしていないのです。医師免許がない人が人の体を切ってしまえばそれは傷害罪となります。何もこれは特殊なことに限りません。身近な例としては自動車を運転すると交通事故という危険があるので運転免許という制度が整備されています。運転免許を持たない人が自動車を操作することは禁止されています。

 同様にスポーツをするには必ず何らかの危険性が伴います。そのために指導者は安全に配慮する義務があります。これについては特別な法律はありませんが、もし生徒が怪我をしたとき指導者に責任があったかどうかは非常に大きな問題となります。

 トランポリンでは頭部からの落下やトランポリンからの転落により頸椎あるいは脊椎損傷という非常に大きな事故が発生する可能性があるスポーツです。そこで、安全に行えるように指導者は配慮する必要があります。

 そこで日本トランポリン協会は段階練習方法を整備し、さらに資格制度を設けています。この資格は法律上のものではないので、拘束力はありません。だから資格を持っていない人が指導を行うこと自体は法律違反ではありません。しかし事故にあったときに指導者に過失がなかったどうかそれは問題となります。普及指導員というのは日本トランポリン協会が定めた指導法に即して指導を行う能力があることを日本トランポリン協会が保証する資格といえます。