余談3 法的な面からみた普及指導員(2)

今は法人としてはなくなった日本トランポリン協会ですが、専門家団体が作った段階練習法と資格制度は社会的な信頼性があり、法律上ある程度有効に働きます。法律上有効に働くとは、日本トランポリン協会の指導法に即して行った指導で発生した事故については、もし指導者に過失があるとすれば、それは日本トランポリン協会の定めた練習法に問題があるということになります。専門家の組織であった日本トランポリン協会がつくった練習法に瑕疵(欠陥)があるというのを証明することは、非常に困難ですので、普及指導員が段階指導法に即して指導していたにもかかわらず発生した事故は、裁判になった場合でも、法的な責任を問われることはまずないと思われます。あるとすれば、日本トランポリン協会を吸収した日本体操協会がもっと安全な指導法を作った場合などです。

なお、この保証は日本トランポリン協会が作った指導法に即していることが前提です。資格を持っていることは段階練習法を実践していることの証明にはなりません。実際に段階練習法に即した指導を行っていることが条件です。日本トランポリン協会の指導法と異なった指導を行った場合はその保証はなくなります。保証がないというのは、日本トランポリン協会の指導法と異なることをしていたにもかかわらず、指導者に過失がないことを自分で証明する必要があるのです。これはかなり困難なことです。逆をいえば過失がないことを自分で証明できるのであれば、日本トランポリン協会以外の指導法を行ってもよいです。だから、他のスポーツ種目の方が、独自の方法で指導すること自体は法律違反でも何でもありません。ただし、万が一事故が起きた場合、過失責任がないことを証明できるだけの根拠があれば、です。指導者となるには、法律上の責任問題は考慮しておく必要があります。

最後に、日本トランポリン協会は社会人向けと子供向けと競技者向けの3つの指導法を作っています。この中でもっと広く行われているのは子供向けの指導方法です(バッジテスト段階練習法)。社会人に競技者向けの指導をすることはまずないと思いますが、子供向けの練習法を使うことはよく見られます。しかしこれは、日本トランポリン協会の指導方法からはずれた指導となりますので、成人を指導している人は要注意です。