3種類の段階練習法

 現在トランポリンの指導法としては、社会人のレクレーショントランポリン向けの段階練習(普及版)、こどもの素養作りのためのバッジテスト段階練習、競技者育成(こどものレクレーショントランポリンを含む)のための競技検定段階練習の3つがあります。

このうち、競技検定段階練習は他の2つと異なり、競技者として最低限実施できなければならない種目がピックアップされています。対象はトランポリン競技選手を目指すものすなわちそれなりの運動能力を持ち合わせたものを対象にしています。だから、段階練習の数が少なくなっています。しかし最低限必要なものをピックアップしたものなので、当然生徒の能力に応じて、細かい段階練習が必要です。

これに対して他の2つの段階練習は、だいたいこの通りの段階練習をすれば安全にトランポリンを使うことができるようになっているものです。だいたいというのはそれぞれのレベルで実際はもっと細かい段階練習をする必要があるからです。

段階練習はバッジテストの方が同じレベルまでの段階が多くなっていますが、こども向けのバッジテストは連続運動が中心の段階練習になっていますので、そのため段階が多くなっています。実際は成人向けの段階練習のほうがより細かい段階練習をするようになっています。これは、バッジテストが運動能力の発育が著しい幼少期の子供を対象としており、これに対して社会人向けの段階練習の対象は運動経験のない人を想定していることによります。

 バッジテストの普及に対して社会人のレクレーショントランポリンの普及は進んでいませんので、もっと使われている段階練習はバッジテスト用のものです。このため社会人に対してもこの段階練習が用いられていることがよくあります。

しかしこの段階練習は社会人向けではなく、社会人向けの段階練習では腰落ちや膝落ちより後に練習することになっている「抱え跳び」がそれらに先行して3番目に練習するようになっているように順番も異なっています。そして何より連続練習を中心にしているため、社会人向けよりも粗い段階練習になっています。つまりバッジテストの段階練習を社会人に適用するのは、問題があります。社会人に対しては社会人向けの段階練習(普及版)を用いることが必要です。