図心

 前回基本図形の重心の話をしましたが、前回取り上げた基本図形の「点」は正しくは「重心」ではなく、「図心」です。小学校のレベルでは、「図心」と「重心」は一致しますが、一般的に「図心」と「重心」は異なることも多いのです。図形を書いた紙の様にどの部分も材料が変わらない、つまりどの部分の密度や重さがが一定のような材料の場合図心」と「重心」は一致するのです。

 例を出して説明しましょう。横から見て長方形に見える水槽のような箱の中に、半分だけ水を入れたとしましょう。上半分は空で、下半分は水が入っています。重さの中心と言われる「重心」は下に下がっていると言えば計算しなくともわかるでしょう。これに対して「図心」形状そのものの心ですので、水が入っていようがいまいが変わりません。つまり「図心」と「重心」の位置は同じでなくなっています。

 このように部分的に重さの異なるものや複雑な形状をしたものの重心を計算で求めるに必要なのが積分なのです。