あなたの知らないバッジテスト(最終回)

最後に

 日本で幅広くおこなわれている球技スポーツをはじめとして多くのスポーツでは空中戦が行われています。

 一方運動神経の発達が著しい時期は10歳ぐらいまでであり、この時期に適切な運動経験をしておくことが運動能力向上に役立ちます。

 しかし、10歳ぐらいまでの児童は大人のような十分な体格・筋力を有しておらず、おとなのような高い跳躍をすることが出来ないので、空中戦に対するトレーニングを行うことは困難です。これに反して、運動神経の敏感期である小学生低学年までに空中運動を経験しておくことは重要です。

 つまり肉体の発育と運動神経の発達時期が異なるため、運動神経の発達時期にはまだ肉体の発育が不十分なため空中トレーニングを行うことは難しくなっており、空中での運動能力の発達が望めないのです。だからこし、筋力の不足を補う装置としてトランポリンによるエアリアルトレーニングが必要なのです。10歳ぐらいまでの児童に対してトランポリンを利用して空中運動を経験させておくことは将来、多くのスポーツで行われる空中戦に必要な空中感覚養成に多大なる寄与をするのです。

 このことから児童を対象として、トランポリンを使った空中運動経験プログラムとして、トランポリンエアリアルトレーニングは作成されています。

 しかし日本の現状を考えると多くは中学に入ると部活動のためトランポリンから離れることとなるし、それ以前に公共施設を公平に利用できるようにするために、トランポリンエアリアルトレーニングを終了したものはトランポリンを卒業させることになっています。その一方で小学高学年や中学生の時 期は第2次成長期により身体が著しく成長を迎える時期で、まだ本格的な筋力は身についていない。空中戦に必要な筋肉が身につくのは、成長が停滞する10代後半すなわち高校生ぐらいになってからである。このため、トランポリンで得た空中感覚は5年前後のブランクを迎えることになります。このブランクを超えて空中感覚を残しておくためには、適切な反復練習が必要です。

 ところが、バッジテストの合格基準は、安全上最低限の反復練習で合格を与えるものになっています。これは、合格後も反復練習をすることを前提にして、できるだけ効率的にシャトルゲーム、それに用い35種目全部をできるようにするために、あえて合格基準を低く設定しているからです。つまり合格後も反復練習を行わなければ、トランポリンを使って得た空中感覚は5年のブランクの間に失われてしまう可能性が大きいのです。しかし、現状では前提が理解されず、「合格」というものがクローズアップされたために、合格後も反復練習をするということが行われず、バッジテスト1級合格を持ってトランポリンを去る児童が非常におおいのが現状です。これではトランポリンで得た空中感覚は生涯有効なものとならず、トランポリンをやめてしばらくしたらその感覚は失われてしまうでしょう。この状況はトランポリンの練習に費やした時間をどぶに捨てるようなものです。

 本ブログはそのような残念な状況を改善するために、トランポリンバッジ制度を理解し、正しい利用をしてもらうために書いてきたものである。

 

 以上をもってこのコーナーは終了です。今後は「そのバッジテスト、間違っています」でバッジテストについては書いていきますので、ご覧ください。

 また、、正しいトランポリンの普及はバッジテストについてだけを取り上げても意味はありません。トランポリンの普及のカギとなり、バッジテストの根幹を支えている「普及指導員」に対しての啓蒙活動も必要と思われます。それについては「普及指導員一問一答」というコーナーで取り上げていますので、そちらをご覧いただけると幸いです。

 

  一覧へ