余談9 普及版とバッジテスト

 段階練習法は現在競技検定向けと、子どもの素養づくり(バッジテストなど)のためのものと、本ブログで取り扱っている愛好者向けの普及版の3つがあります。

 競技検定向けには、各種目の実施レベル、完成度までが記載されています。これに対してバッジテスト用は連続練習が中心の練習法となっています。これはバッジテストがシャトルゲームをできるようにすることを目的にして作られているため、シャトルゲームを実施するのに必要な連続運動が多く盛り込まれていると考えられます。

 これに対して愛好者向けの普及版は対象を運動経験のない社会人が宙返りをできるようにするためにつくられたもので、より細かい段階練習を行うようになっています。また、競技検定の段階練習表とは異なり、完成度までは記載されていませんが、競技検定同様連続種目より個々の種目の練習が中心となっています。また、普及版にある連続練習は、先の種目に進むために必要な連続練習であり、その一部を省略すると高度な種目になるものであり、連続練習のための連続種目ではありません。

 なお、競技検定の段階練習表は愛好者向けの普及版を基礎にしており、運動能力に優れた競技者および子供の愛好者に対しては、個々の能力に応じて普及版の細かい段階練習を省略して指導することができるようになっており、重要な種目のみをリストアップし、その完成度をチェックするようになっています。その証拠にピルエット(1回捻り跳び)という本来習得しなければならない種目が競技検定の段階練習表には盛り込まれていません。これはローラー、フルシート(1回捻り腰落ち)などがきちんとできていれば、1回捻り跳びはできているはずなので、1回捻り跳び自体をチェックする必要がないからだと思われます。練習表にないからといって1回捻り跳びが不要なわけではありません。

 なお、競技検定用も普及版も個々の種目の段階練習が中心です。これは個々の種目の完成度(より高く、より美しく)を高めることが必要なためです。これに対してバッジテストはとりあえず連続でできることが大事という考えで作られており、トランポリン種目としての完成度を高めることを目的にしていないため連続練習中心となっています。

 このため、社会人を指導する際には、バッジテスト用ではなく、普及版を使用することになっていますが、実際問題として普及版を手にして練習している人は少ないようです。