第17回 「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」より(9)

 前回書いた様に、トランポリンというスポーツでは行うべきではない水平移動がトランポリン・エアリアルトレーニングに含まれています。このことはエアリアルトレーニングがトランポリンのためのものではないことを示しています。また1級にある反動閉脚跳びも同様のことを意味しています。

 トランポリンは「より美しく」を求めるスポーツです。反動閉脚とびのようにそった姿勢は美しくない姿勢といわれています。しかし、多くのスポーツでは背中の反りや上半身と下半身のねじれを利用して強い反動を得てボールを投げたり打ったりするのが普通です。

 エアリアルトレーニングはトランポリンのためのものではないので、他のスポーツで幅広く実施される反動を用いた運動を空中で経験させておくためにあえて、「反動閉脚跳び」を取り入れているのだそうです。

 ちなみに、静岡県で行われたコーチ研修において、反動閉脚跳びをトランポリン競技で実施した場合を説明していました。トランポリン競技において反動閉脚とびは完成度の低い閉脚跳びとして扱わるとのことです。閉脚跳びが3級、反動閉脚とびは1級にあることからわかるように、反動閉脚跳びの方が閉脚跳びより実施しにくい種目ですが、それにも拘わらず、競技で使用した場合は逆に点数が低くなってしまうのです。つまり反動閉脚跳びなどは行わないことが望ましいのです。

 そんな種目をわざわざ取り入れているのは、トランポリン・エアリアルトレーニングがトランポリンのためのものではなく、他のスポーツとくに球技を愛好する児童のための空中運動トレーニング法として作られているからです。