段階練習5 膝落ち2(膝の動き2 戻しの観点)

 ところで、膝落ちはちょっと変わった種目です。というのは、膝落ちで行う膝を曲げるという動作は、他の多くのスポーツでは「戻し」で行われることが多いからです。たとえば走る時、足を伸ばして前に出して、膝を曲げて進みます。どちらかというと意識は足を前に出すことにあり、その後の「戻し」にあたる曲げはあまり意識されていません。つまり膝落ちは「戻し」の動作を最初に行ってから、足を前に出すという動作を行います。

 ところで、他の多くのスポーツでは膝を曲げる動作は非常に重要ですが、体重がかかった膝を直角まで曲げることはかなり難しいです。走る時などは体重がかからない状態で膝を曲げますが、このときは膝から下は今度はほとんど荷重がかかっていません。

 ところがトランポリンでは膝にはほとんど負担をかけずに膝を直角まで曲げる動作を行い、曲げてから直角を保つために、力を使います。膝を直角に保ったまま一瞬ですが静止するという特殊な動作を経験させられます。

 テニスでは、スプリットステップと行って小さなジャンプをして、膝を曲げた状態で一瞬止まる技術が必要です。そこから膝を伸ばして走り出す、膝を曲げて低いボールに対処するなど膝を曲げた状態がスタート地点になります。トランポリンで膝を曲げて一瞬停止するという膝落ちの運動は、将来このような技術に生かせると考えています。