運動の自動化

 車の運転を始めた頃、曲がる時はウィンカーを出してとか、考えながら行っていたと思います。運転になれるといちいち考えずに自動的にウィンカーを出せるようになります。曲がることに対して、ウィンカーを出すと考えるのは、脳に対するインプットとアウトプットです。ウィンカーを出すと考えて手を動かすのは筋肉に対するインプットとアウトプットです。つまり、ウィンカーを出すと考えるのは、脳からのアウトプットであり、筋肉に対するインプットです。この2つは同じものです。なれてくるとこの部分が無意識に行われ、曲がるというインプットと手を動かす動作が直結します。運転になれてくると、ほとんど意識せずにこれができるようになります。このように意識せずに運動がスムーズに行えるようになることが運動の自動化です。

 トップアスリートになるには、いちいち考えて身体を動かすのではなく、瞬時に判断して自然と最適の動きができるようになる必要があります。しかし、子どもの素養作りを目的とするトランポリンエアリアルトレーニングでは、運動の自動化が起こるまでは練習させてはいけないとされています。運動の自動化は、類似行為に対しては、悪影響を及ぼすこともあるからです。たとえば、トランポリンでは膝はほとんど伸ばしています。ところが、他の多くのスポーツでは膝は曲げている状態が基本であることがほとんどです。もし運動の自動化起こって何かをしたらすぐ膝を伸ばすということになってしまったら、他のスポーツを行う際に非常に苦労することになります。

 練習を積んで上手になることは必要ですが、自動化が起きるまで練習してしまったら、それはエアリアルトレーニングの観点からするとトレーニングの失敗です。