第37回 「単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」より(28)

 単元8 スポーツの素養づくり子どものトランポリン運動(エアリアル・トレーニング)」の「10.バッジテストの合格基準」では、合格基準を以下のように説明しています。

 “バッジテストの合格基準はいたって簡単で、種目1~10が、どんな形でも続行できれば合格となる。”

  “どんな形でも続行できれば”とは上手でなくてもいいということです。なお、指導普及員講習テキストには書かれていませんが、コーチ講習のテキストでは反復練習の回数について以下のような記述があります。

  “安全指導の観点から見た反復回数の下限は「連続運動の中に取り込める程度の習熟に必要な回数」と言える。”

  バッジテストの合格基準は、“どんな形でも続行できる”、つまり10種目という連続運動の中に取り込むことができれば合格です。“連続運動の中に取り込める”というのは安全上最低限必要な反復回数ということですので、バッジテストの合格基準とは安全上の下限値の反復練習を行ったことを確認していると言えます。当然技術・能力としてみにつけるために必要な反復回数は安全上必要な反復回数ではなくもっと多くしなければなりません。

 

 以上からバッジテストの合格とは、技術や能力が身についていることを判断しているのではなく、安全上必要な練習を行っていることを確認するためのものであると言えます。言い換えれば、技術・能力として身につかない段階で合格を与えてしまうのがバッジテストなのです。つまり合格したからといって、運動能力が身についていることを保証しているのではないのです。

 トランポリンを競技としてではなく愛好する人にとってもこのようなテストに合格しても大した意味はないと考えられます。もしバッジテストがトランポリン愛好者・レクトラのためのものであるならば、安全だけではなく、技術が身についていること保証するレベルを合格基準にするべきです。つまり合格基準をもっと高く設定すべきなのです。それを行っていないのは、バッジテストがレクトラのためのものでは全くないからです。