第3回 調整力トレーニングとは

 塩野尚文先生の著作『エアリアル・トレーニング 子どものトランポリン運動』では、「1.調整力トレーニングとは」で調整力トレーニング(エアリアルトレーニング)について以下のように説明しています。

 “ すなわち、頭で考えたことと実際に行われた動作の間の誤差を修正するための動作の繰返しが「練習」であり、その過程における中枢および神経系の筋肉群の繰返しが「練習」であり、その過程における中枢および神経刑の筋肉群に対する支配能力、コントロール能力を「調整力」と呼び、このような能力を高めるためのトレーニングを「調整力トレーニング」と呼んでいる。

  したがって調整力トレーニングとは、広範囲な身体の動きを試行錯誤的に経験させ、運動をつかさどる中枢群、および筋肉の感覚器といったコンピュータに、豊富なデータをファイルさせ、かつ、中枢と筋肉を結ぶ配線(神経線維)をしっかりしたものにすることに他ならない。“

 

 上記は最近文部科学省や日本体育協会が唱える多様性ある運動に通ずるものです。広範な身体の動き、豊富な運動経験をさせることが調整力トレーニングです。一方特定のスポーツはそれぞれ特有の動作を繰り返し行う、つまり特定・限定した動きを行うものであり、繰返し練習を行う点は共通するものの、一方は広範囲の動きを試行錯誤的に経験させることが目的であり、他方は特定の動きの精度を高め自動化できるようにすることを目的としています。つまりエアリアルトレーニングと特定のスポーツの技術習得は目的と行うべき運動のバリエーションが全く異なるのです。バッジテストはエアリアルトレーニングのためにつくられた練習法であり、トランポリンという特定のスポーツの技術習得を目的としたものではないため、トランポリン愛好者にバッジテストの練習法を適用することは無駄が多いことになります。