第9回 シャトル・ゲームの重要性

 塩野尚文先生の著作『エアリアル・トレーニング 子どものトランポリン運動』の「Ⅵ.エアリアル・トレーニング 子どものトランポリンの運動処方」の「1.あらまし」ではバッジテストの練習について以下のように注意をしています。

 “特定の連続パターンのバッヂ・テスト(5級~1級)のみによって経験し、習得した空中動作が将来のスポーツ活動にそのまま役立つとは思えない。”

 

 上記にあるように、特定の連続パターンを練習するだけのバッジテスト将来のスポーツ活動には大きな貢献はしないのです。それではなぜバッジテストを行うのでしょうか?

 同書では引き続き以下のような説明があります。

 “次に1級を合格した時点から、バッヂ・テストの連続パターンによる練習をやめさせ、今度はその35種目をつかって「言葉の尻取りゲーム」のようなシャトル・ゲームを経験させる。

(中略)

 このゲームに勝ったという事位は、35種目という制限こそあれ、その範囲内で自分の身体を空中で自由に操れたという証になる。

 このゲームをある程度経験した時点で、エアリアル・トレーニング子どものトランポリン運動は終了する。“

 

 以前にも説明したようにエアリアルトレーニングの目的は、空中で自由自在に体をコントロールする能力を身につけることです。引用文を読めばわかるようにそれを実施する為に、シャトルゲームがあるのです。つまりシャトルゲームを経験して初めて体を自由自在にコントロールする能力が身につくのです。トランポリン運動は非日常的な運動です。そのため、初めてトランポリンを跳ぶ人にシャトルゲームを見よう見まねで行わさせることは危険なためできません。シャトルゲームを行わせるためにはある程度トランポリンの運動になれなければなりません。それを実現するためにバッジテストはあるのです。つまり、バッジテストはシャトルゲームを安全に行えるようにするための段階練習であり、バッジテスト1級合格してようやく本当の意味のエアリアルトレーニングが開始できるようになるのです。

 

 これは入試試験に合格して初めて高校や大学の授業を受けられるようになり、高校や大学で学ぶことに似ています。入試に合格することはゴールではなくスタートなのです。それと同じようにバッジテストに合格することは高校・大学に入学を許可されたのと同じように始まりなのです。入試に合格しても入学し、学校で授業を受けなければ卒業もできませんし、その学校で学ぶ知識を得ることもできません。それと同様にバッジテスト1級合格しても、シャトルゲームを経験しなければ、エアリアルトレーニングは卒業はできませんし、将来のスポーツに役立つ能力を身につけることもできないです。