第15回 負の転移

 塩野尚文先生の著作『エアリアル・トレーニング 子どものトランポリン運動』の「6.指導上の留意事項」の「A.エアリアル・トレーニングの基本的な考え方」の「③ 反復回数の制限」では反復練習の回数とそれによる反射回路の形成について以下のように説明しています。

 “すべてのスポーツ競技は、それぞれの動きの条件反射回路の形成にある。

 しかし、スポーツの素養づくりのために仕組まれた動作を条件反射的に行える程度習熟する必要はない。逆の一つの動作を反射的に行えるほど習熟したとすると。この場合、後になってその動作と類似した別の動作を習得する時、前の反射回路が邪魔になることが予想される。 “

 

 まず、エアリアルトレーニングはトランポリンというスポーツのための練習法ではありません。そのため、トランポリンの技術を習得し、反射回路が形成されるほど反復練習をする必要はないことが書かれています。

 そして、もし反射回路が形成されたら、類似した動作に対してじゃまになることを指摘しています。だから反復回数には制限が必要となっています。なお、同書では書かれていませんが、このようにある特手に動きが他の動きに悪影響を与えることをマイナスの転移といいます。同書では常に転移を意識して指導することが書かれていますが、転移にはプラスになるものとマイナスになることがあるのです。トランポリン運動のための条件反射回路の形成は他のスポーツにとってマイナスになることがあることも意識して指導することが必要なのではないかと思います。