第17回 バッジテストではトランポリン競技の美しいフォームをつくってはいけない

 塩野尚文先生の著作『エアリアル・トレーニング 子どものトランポリン運動』の「6.指導上の留意事項」の「A.エアリアル・トレーニングの基本的な考え方」の「④ 身体機能の開発」では、エアリアルトレーニングの指導について以下のように説明しています。

 “膝やつま先をぴんと伸ばしたトランポリン競技の外形的な美しさのみを真似るべきでない。何故ならばトランポリン競技の「こなし」や「フォーム」が美の追求から生まれているのに対して、他の多くの競技は、より強い力、より早い動作等身体機能面から追及されている。”

 

 まず前半では、エアリアルトレーニングがトランポリン競技とは別物であり、トランポリン競技の基礎となる美しいフォームを真似させるべきではないと説明しています。ここでは書かれていませんが、美しい姿勢とは完成度と関係しています。つまり完成度の高い技術を身に着ける必要はないということです。完成度の高い基本を身につけることは選手を目指すものばかりに必要なわけではありません。トランポリンを長く続けていくためには、バッジテストにある35種目だけでは満足できないでしょう。より高度な種目を実施するには競技選手をめざさない愛好者(レクトラ)といえどもトランポリンの基礎をきっちり身に着ける必要がありますので、バッジテストの指導は愛好者には向いていないものなのです。