アルティメイト(2)トランポリンは弾性体ではない

 さて、「スタンスと跳躍高さ」では、たわみが少なくなるとジャンプが低くなるということについて書きました。アルティメットは補強がなされフレームの変形が少なくなっていることからフレームの分たわみは少なくなっているはずでありますが、選手の感覚ではむしろ高くなっているのだそうです。これは大きく矛盾することです。

 トランポリンでの跳躍はトランポリンの弾性を利用して行うといわれていますが、実はトランポリンは完全な弾性体ではないのです。そのためアルティメイトの方が従来品よりも高さが出るのではないかと思います。

 ここで、「弾性」という言葉の意味を整理しておきましょう。「弾性」とは力を加えても力を取り除くと元に戻る性質を意味しています。トランポリンの場合着床すれば体重や落下の勢いでトランポリンが変形して、離床すれば荷重が取り除かれますので元に戻ります。

 でも試合などでときどき脚を引っ張ったりして調整しているのを見かけることがあるように、ずれたりすることがあります。つまり力を取り除いても完全には元に戻っていないのです。

 剛性を高めることにより、それらが少なくなり、より完全な弾性体に近づいたため、トランポリンの弾性力が有効利用できるようになり、高さが出るようになったのではないかと思います。