鎖と鉄球

 「スタンスと跳躍高さ」からたわみと跳躍に関する話題について書いていますが、そのきっかけは日本体育協会のコーチ講習でした。その講習の中で「スタンスを広くするとたわみが少なくなり跳躍高さが減る」という説明がありましたが、それに対して、その説明ではエネルギー保存の法則が成り立たないということから一連のブログを書いています。

 その講習では、比較として同じ重さの鉄球と鎖を落とした場合の説明がありました。同じ高さから落とした場合鉄球の方が弾むというような説明でした。これは正しいと思います。なぜなら鉄球はほぼ剛体(変形しない物体)と考えられますが、鎖の塊は着床すれば変形するからです。その変形も弾性的な変形ではなく、鎖が相互に擦れある変形です。つまりそこには摩擦が生じます。鎖が高く弾まないのはエネルギー的に考えると、鎖が動くことにより位置エネルギーの一部がまず鎖の運動エネルギーになり、さらに動くことにより摩擦が発生し、熱エネルギーに変換されるからだと考えられます(日常的に体験できますが、こすると熱を持ちます)。

 

エネルギー保存の法則からいうと

  位置エネルギー(最大)=位置エネルギー(最少)+トランポリンの弾性エネルギー+摩擦による熱エネルギー

 

となります。摩擦が生じることにより位置エネルギーの一部が熱エネルギーになって消費されるため(外部に逃げるため)、上下運動に使われるエネルギーが減るため結果として跳躍高さが小さくなると考えられるのです。