片持ち梁

 前回スタンスを広げると跳躍が低くなる原因の一つは、バネの回転などにより摩擦が大きくなるためではないかと書きましたが、スタンスを広げると摩擦量は増えるのでしょうか?それを説明するのはかなり困難ですので、それについては後日改めて書こうと思います。

 その前に今回はたわみについて考えてみます。それもトランポリンのような複雑なものではなく、もっと単純な構造のたわみです。今回考えるたわみは、片持ち梁のたわみです。

 片持ち梁というのは、板飛び込みの板のように、一方が固定されており、そこから張り出されてもう片方は何も接続していない構造です。固定されている方を固定端、先端を自由端と呼びます。

 それでは本題の片持ち梁のたわみついて説明していきます。図の矢印の点(荷重点)に力Pを加えると片持ち梁は曲線のようにたわみます。荷重点のたわみは以下の式で示されます。

 たわみδ=P×b^3÷(3×E×I)

 ここで^3は3乗を意味します。Eは材のヤング係数といわれる定数で材料によって決まる値です。Iは断面2次モーメントと呼ばれる梁の断面の形状によってきまる定数です。

 トランポリンや板飛び込みではたわますほど大きな弾性力を受けて高く跳ね上げられますので、できるだけたわみを大きくすることが大事です。()内の値は材料や形状によって自動的に決まる値ですので、選手の努力によって変えられるものではありません。選手が調整できるのは、加える力の大きさ(P)と荷重位置(b)だけです。

 式では、bを長くする、いいかえればできるだけ先端(自由端と言います)に近いほうで荷重を加えれば大きくたわますことができ、それだけ高い跳躍を受けることが出来ることになります。