第21回 シャトルゲーム会を競技会にしてはいけない

 シャトルゲームについて注意すべきことがあります。

 塩野尚文先生の著作『エアリアル・トレーニング 子どものトランポリン運動』の「6.指導上の留意事項」の「A.エアリアル・トレーニングの基本的な考え方」の「⑦ シャトル・ゲームと競技会」から今回も前回と同じ部分を引用します。

 “シャトル・ゲームを競技会と位置づけ、県一、日本一を競い合ったならば、35種目の空中動作のいろいろな連続パターンを熟知し、条件反射的に行えるように練習を際限なく繰り返すことになる。そうなった場合、シャトル・ゲームはエアリアル・トレーニングとは、無縁のものになってしまう。”

 シャトルゲームは、全国大会も行われているレクトラのために作られたシャトル競技とは異なり、トレーニングであり競技会ではないのです。競技会は練習の成果を発表し、競い合うものですが、トレーニングはそれ自体が目的ではなく、他の目的、トランポリンエアリアルトレーニングでは子どもの運動能力獲得のための練習法です。つまりシャトルゲーム自体が練習なのです。

 シャトル競技はスポーツ競技会であり最終的に結果が出、その結果に対してメダルや表彰状などを出して成績優秀者に対して表彰を行います。その結果は記録として残すことになります。これに対して、シャトルゲームでも結果は出ますが、実施要項で、「⑬ 公式のシャトルゲーム会に参加した場合、順位によるメダル、賞状等は与えず、1回目、2回目参加の場合は参加証明書、3回目参加の場合は卒業証明書を与える。」とあるように、成績結果を示すようなものを残してはいけないのです。

 シャトルゲームは競技会、いわゆるスポーツではなく、トレーニング手段であり、それ自体が練習の場なのです。そしても、もし競技会にしてしまうと、それはもはやあらゆるスポーツに対応できる子どもの運動能力獲得のためのトレーニングではなく、トランポリンという限られた競技自体をおこなうものに成り下がってしまうのです。

 以上のようにシャトルゲームはトランポリンというスポーツのためのものではなく、子どもの素養づくりのためのトレーニング手段として考案されたものなのです。