第25回 エアリアルトレーニングは短期間で

 塩野尚文先生の著作『エアリアル・トレーニング 子どものトランポリン運動』の「6.指導上の留意事項」の「B.エアリアル・トレーニングにおける留意点」の「a 直接かたちに表れにくい留意点」ではトレーニング期間について以下のように説明しています。

 “⑤ その目的の関係上、運動に関与する神経系の最も旺盛な発達を見せる低学年期に、より短期間に終了させておくべきである。”

 

 エアリアルトレーニングの目的は、他のスポーツに役立つ空中感覚を身につけるために空中運動を経験させることです。

 子供の成長はまず、神経系が発達します。神経系の発達は10歳ぐらいでほぼ完了しますので、この期間に神経系を刺激するように様々な動作を経験することが望ましいといわれています。この時期は空中での運動を経験するだけの筋力はまだありませんので、トランポリンを利用して空中運動を経験させることは将来非常に役立つものと思われます。

 神経系の発達がほぼ完成した10台前半は、「ゴールデンエイジ」と呼ばれる各種スポーツの技術習得に最も適した年代となります。ただしこの時期以前に多様性のある運動を経験していかないと、技術習得は難しいとも言われています。

 以上から低学年期にエアリアルトレーニングを完了しておくことが望ましいので、できるだけ短期間に完了させることが大事なのです。

 トランポリンは日常生活では得られない経験を積むことができる反面、正しい利用法をしないと危険もあります。安全にトランポリンを利用できるためにはそれなりの時間もかかりますので、トランポリンのための技術習得に必要な基礎をしっかり作るような反復練習を行う時間的余裕はありません。それを考慮して安全性上最低限の必要な反復練習でトレーニングが進められるようになっているのがバッジテストの合格基準なのです。