腹落ち・背落ち・腰落ち(2)

 自分の教室ではコンクリートの床に直にトランポリンを置いています。そのため冬になるとトランポリンの真下の床から冷気が上がってきます。それを防ぐために断熱材として発泡スチロールを敷いています。以前はもっと厚く敷いていたのですが、現在は厚さを減らしています。

 というのは、以前大柄な体格の良い男性成人が腰落ちをしたときに、床に触れてしまったからです。発泡スチロールでしたので幸いけがはありませんでしたが。だから今は薄くしています。

 

 公共体育館で活動する団体ではローラースタンドはトランポリン利用中は使用しませんので、どこかに置いておく必要があります。床においておくとつまずいたりすることもありますので、邪魔にならない場所としてトランポリンの下に置くことがあります。体重のある大学生が背落ちをしたらそのローラースタンドにぶつかったということもありました。

 

 これらは足で跳んでいるときに起きておらず、背落ちや腹落ちの際に起きています。つまり、背落ちや腰落ちは足で跳んでいる時よりも大きくたわむことがあるのです。

 以前背落ちなど等分布荷重とみなせる状態ではたわみが小さくなると書きましたが、それと反対のことが起きているのです。

 

 今回はそれについてエネルギー的に考えていきたいと思います。

 人間のからだを長方形とみなしてみます。左が立っている状態、右が背落ちのように寝た状態を示しています。

 長方形の重心(正確には図心)は対角線の交点、つまり中央にあります。立った状態より寝た状態では重心位置がdだけ低くなっています。

 重心位置が低いということは位置エネルギーが低くなっていることを意味します。

 位置エネルギーは高さに比例します。トランポリンから測って高さHのところから物を落とした時、立って着床した際に失われた位置エネルギーはmg(H-a/2)となります。

 寝た状態で着床した場合はmg(H-b/2)となります。なお、mg=体重Wです。

  その差はW(a/2-b・2)=Wdとなります。

  つまり寝た状態では立位に比べてWd分だけ位置エネルギーを利用することが出来、その分トランポリンの弾性エネルギーが増えるのです。その結果背落ちなどではたわみが大きくなるのです。