腹落ち・背落ち・腰落ち(3)

 前回書いた様に、背落ちなどでは重心位置が低くなることから位置エネルギーが有効に使えるため、より大きな力でトランポリンを大きくたわますことが出来ます。

 スタンスを広げるとたわみが小さくなるのでジャンプが低くなる、つまりたわみに応じて跳躍高さが変わるのだとしたら、背落ちなどの方がフィートバウンスより高い跳躍ができるはずです。でも、実際はそうはなりません。

 これはTスコアが行われる以前の競技規定でも示されています。Tスコア採用以前は演技審が高さの減少を採点することになっており、2009-2012年版ではフィートバウンス(足での着地)では1/4高さが減少すると0.1点減点ですが、背落ちなどでは1/4では減点がなく、半分で減点となっています。つまり背落ちなどは高さが減るのは当然なので、それを反映した採点法となっていたのです。

 現在の採点法は着床姿勢にかかわらず、滞空時間を機械計測しているだけですので、このような配慮はありませんが。

 話を元に戻しますが、背落ちなどではフィートバウンスよりたわみが大きくなることはありますが、跳躍高さは低くなるのが普通なのです。つまり沈み込み量が増えても跳躍高さが高くなるとは限らないのです。言い換えれば沈み込み量が減っても跳躍高さが減るとは限らないのです。よってスタンスを広げると高さが低くなるということに対して、たわみ量だけでは説明がつかないのです。