どうして腰落ちの時指先を前に向けるの?

 腰落ちで一番重点的に指導するのは、指先の向きです。指先は前方に向けなければなりません。

 一般に人は後ろに倒れるときに、指先を後ろに向けます。指先を後ろに向けると肘関節が曲がらなくなり、しっかりと支えられるからです。指先を前に向けると肘が曲がらないように筋力で支えなければなりませんので、筋力がなく、しっかりと支えられなければ、後頭部を地面にぶつけてしまいまい、最悪死亡することもあります。だからしっかり支える必要があります。しかし、腕で支えきれなければ、肘関節や腕の骨が折れてしまいます。でも腕や肘の怪我は治療することができますので、後頭部をぶつけるよりは軽傷で済みます。だからより安全に転べるように、自然と指先を後ろに向けてしっかり支えるようになっているのです。

 しかしトランポリンの腰落ちは、意図的に何回も倒れる技です。意図的に倒れる技ですので、転倒するのと異なり後頭部を打つ危険性は低くなります。しかし何回も繰り返すことで肘にかかる負担は大きく疲労による障害の可能性もありますし、失敗して腕にだけ体重がかかると骨折などの危険性が高いです。つまりトランポリンの腰落ちでは後頭部の障害の可能性は低く、腕の傷害の危険性が高まります。そのため、日常と異なり、指先を前に向け、着床の際に腕の筋力で支えられるようにする必要があるのです。

 しかし、人は反射的に指先が後ろを向くようになっていますので、意図的に前に向くように指導し、練習させる必要があるのです。