なぜ10歳以下の子どもにトランポリンは有効なのか?

 運動能力については、遺伝的要素もありますが、後天的な経験による影響の方が大きいと言われています。たとえば身長については遺伝的要素の割合は20%で、あとは後天的な栄養や運動経験によるものといわれています。

 ところで、スキャモンの発達曲線によると、運動神経に関する神経系は10歳ぐらいまでにほとんど完成されます。一方筋肉などの発達に関わる全身系を見ると4~10歳ぐらいの期間は、あまり発達せず、第2次成長期の頃から急激に発達します。つまり4~10歳ぐらいの年齢では、運動神経は急速に発達しますが、筋力はそれほど発達しないと言うことが示されています。

 まず、運動神経が発達するこの時期に、様々な運動を経験することが、神経系の発達に大きく影響します。逆にこの時期に運動を経験させないと、神経系の発達が十分行われませんし、後に運動嫌いになる可能性も高くなります。この時期にトランポリンを用いて様々な動作を行うことは、後の運動神経開発に非常に役立ちます。

 ただし、運動を経験させるのは他のスポーツでもできます。しかし、トランポリンには他のスポーツにない優れた点があります。

 スキャモンの発達曲線によると、筋肉などの全身系はこの時期にはあまり発達しません。つまり様々な運動を経験させるべき時期に、十分な筋力がないのです。しかしトランポリンは筋力の代わりに、バネの弾性を用いることにより、高い跳躍を生み出せます。トランポリンを使って跳躍し、空中で様々な動作を行うことは、地上での運動による効果に加えて空中での運動効果も期待できるのです。

 国内において行われているメジャースポーツの多くは球技系スポーツです。野球におけるダイビングキャッチ、サッカーにおけるヘディング、バレーボールのアタック、バスケのリバウンド処理、ハンドボールにおけるシュート、テニス・バドミントンにおけるスマッシュなどでは空中バランス能力が求められますが、これらのスポーツで跳躍できるようになるのは、神経系の発達が完了した後に発達する全身系の発達が行われて純分な筋力が得られてからです。筋力が十分ではないが神経が発達する時期にトランポリンを用いて空中バランス能力を発達させておくことは、これらスポーツを行う上でも非常役立ちます。もちろん、スキー、スノーボードやフィギュアスケートのようにジャンプを伴うスポーツの素養づくりにも役立ちますし、トランポリンで開発したバランス能力は、格闘技系のスポーツにも役立つものと思われます。

 最後に、日本トランポリン協会では、運動神経が発達する10歳以下のこどもを対象として、すべてのスポーツに役立つ運動能力が開発できるように、専門のトレーニング処方を開発しています。これを、こどもの素養づくりまたはエアリアル・トレーニングといい、その達成度の判定用にバッジテストという制度を設けています。このトレーニングを受けることで、運動神経を開発し、将来各自が行うであろうスポーツの基礎運動能力づくりに役立てようとしていますので、将来子どもを運動好きにしたい人、スポーツ選手にしたい人は是非、お子さんにトランポリン エアリアル・トレーニングを受けてみて下さい。