バッジテスト実技編(シャトルゲーム)

2019年

11月

13日

シャトルって何?

 トランポリンシャトル競技というのは、対戦型のスポーツです。これは日本で考案されたニュースポーツで、2台のトランポリンを使って、交互に技を繰り出して行います。

 先行がまず1つ技を行い、後攻はその技に続けてもう1つ技を付け足します。その後先行はその2つに続けてもう1つ技を付け足します。こうして交互に、技を付け足していき順番を間違えたり、失敗したりしたら負けとなります。

 トランポリンエアリアルトレーニングでは1級終了後にシャトルゲームに数回参加して、トレーニングメニューすべて終了となっています。同じ「シャトル」がついていて、ルールも似通っていますが、シャトル競技とシャトルゲームは全く異なる目的に行われるものです。シャトル競技は宙返りのような高度な技ができなくともトランポリンというスポーツが楽しめるように行われるスポーツです。これに対してシャトルゲームは、子どもの素養づくりためのトレーニングとして行われ、勝負にこだわらないことになっています。またシャトル競技が1対1で行われるのに対して、シャトルゲームでは数人で順番に行うことになっています。

 

2019年

11月

26日

シャトルゲームの目的とは?

 前回書いたようにシャトルゲームの目的は、子どもの素養づくりためのトレーニングです。ではどんなところがトレーニングになっているのでしょうか?

 バッジテストでは予め決められた10個の技ができるかどうかが判定基準です。つまり事前に練習することができます。これに対してシャトルゲームでは、対戦者がどんな技を使うかはそのときまでわかりませんので、事前に練習しておくことができません。

 バッジテストでは運動の自動化が起こるまで練習してしまう危険性がありますが、運動の自動化が起きてしまった場合、自動化と異なる種目を行われるとシャトルゲームを行うのは難しくなります。

 バッジテストとは異なり、予め決められた種目をこなすのではなく、そのときに何をするかを考え身体を自在に動かせるようになっていることを確認するためにシャトルゲームは行われます。1級ができても自在に身体を操ることができなければ、シャトルを続けることはできないからです。

 

 

2019年

12月

06日

シャトルゲームの目的

 シャトルゲームはトランポリン運動を用いて身体のコントロール能力がついていることを確認するためのものです。でもそれ以外にもスポーツにおける非常に重要なことを経験させます。

 陸上や水泳のようなスポーツではあまり使われませんが、サッカーやバスケを始めチームスポーツや格闘技やテニスのような対戦型のスポーツでは、相手に応じて、相手の出方にあわせて対応する能力が必要です。相手のポジションなどを一瞬に覚え、相手の隙をつく方法を瞬時に判断することが必要なのです。また個人スポーツでも自然を相手にするスキーなどでは、瞬時に判断する能力が求められています。これらはあらかじめすることが決まっているバッジテストでは養うことはできません。そこで、シャトルゲームです。

 シャトルゲームは単純に順番を覚え、次に何を付け足すかを考える能力も必要です。順番を覚えるということは相手を観察する必要があります。対戦相手が何をするのか観察し、その順番を覚え、次に何をするかを瞬時に決めなければ成りません。これは状況を観察し、記憶し、瞬時に判断力するというチームスポーツ・対戦型スポーツに必要な能力も鍛えられるというわけです。

 つまりバッジテストでは空中での運動を通じて様々な運動を経験させ、シャトルゲームで身体のコントロール能力がついていることを確認するとともに、シャトルゲームによりトランポリンのような個人スポーツでは体験できない、状況観察力、瞬時の判断力を養うトレーニングを行うのです。この2段階でトランポリンエアリアルトレーニングは構成されています。

 バッジテスト1級合格でトランポリンをやめてしまう人が多いですが、それは画竜点睛を欠くということになります。つまりその後のシャトルゲームを行わないでやめるのはトレーニングが不完全で、片手落ちとなります。

 

 

2019年

12月

11日

バッジテスト不合格

  バッジテストでは、予め決められた10種目を連続して行えなければ、不合格となります。技ができないで不合格は当然ですが、間違えても不合格です。でも間違えたから不合格なのではありません。

 バッジテストは段階的に簡単な技から難しい技へと練習するようになっています。たとえば、5級では1/2捻りが2個あります。同様に4級にも1/2捻りが2個あります。5級では1/2捻りの連続はありませんが、4級では1/2捻りが連続しています。捻りの連続の方が難しいからです。

 また4級では「腹落ち-膝落ち-立つ」、3級では「腹落ち-立つ」となっています。4級の膝落ちは3級で行う「腹落ちから立つ」への導入のための練習です。

 バッジテストでよくあるのが、4級を練習している生徒は5級の後半の種目を「腰落ち-1/2捻り膝落ち-腰落ち」を「腰落ち-1/2捻り膝落ち-1/2腰落ち」をしてしまうことがしばしばあります。また、3級を練習している子は腹落ちの後に立ってしまうこともよくあります。これらはより難しい技ができるようになっているから行えることであります。しかし、バッジテストでは不合格となります。

 バッジテストは間違えると不合格ですが、バッジテストの本来の目的はエアリアルトレーニングの成果の確認です。エアリアルトレーニングでは、子どもの運動能力開発、すなわち身体がコントロールできているかを確認するものです。

 先に挙げた例のような間違いを犯すということは、身体のコントロールが意図的にできていない証拠です。だから不合格なのです。そしてエアリアルトレーニングの最終確認として、予め決められていない種目を連続して行うことになるシャトルゲームで締めくくるようになっています。

 

2019年

12月

18日

バッジテストは義務教育

 トランポリンエアリアルトレーニングはあらかじめ決められたものを行うバッジテストとその場に応じて動きを変える能力を必要とするシャトルゲームの2つで構成されています。

 たとえていえば、義務教育の小学校です。全ての児童に適用することが望ましいといわれています。そしてバッジテスト5級は小学1年に当たります。当然1年生で習ったものをベースに2年生の学習は行われます。2年生でかけ算九九を習ってかけ算はできるようになったが、1年で習った時計を読むことができなくなっていては意味はありません。つまり5級に合格して4級に進んだ段階でもきちんと5級ができなければならないようになっています。

 いわば4級は小学2年生のようなものです。そして3級は3年、2級は4年、1級は5年に当たります。そしてトランポリンエアリアルトレーニングの最終仕上げであるシャトルゲームは小学校6年に当たります。5年生までに蓄えた基本動作を組み合わせ・応用して行うのが6年生にあたるシャトルゲームです。バッジテスト1級を合格するとやめてしまう人が多いですが、これでは、からだを自在にコントロールするという応用力は身につきません。これではまるで小学校を卒業しないで不登校になるようなものです。きちんとシャトルゲームを行って卒業しましょう。

 

2020年

1月

09日

連続運動と組み合わせ運動

 バッジテスト5級で不合格する部分として、中間部分で腰落ちから「立つ-1/2捻り跳び」を「1/2捻り立つ」、「1/2捻り跳び-抱え跳び」を「抱えながら1/2捻り跳び」、「抱え跳び-腰落ち」を「抱えながら腰落ち」にするなど、2種目の連続運動を1つの組み合わせ運動にしてしまうということがあげられます。

 バッジテストもそうですが、シャトルゲームでもこれらを間違えて行えば失敗となります。連続運動と組み合わせ運動の違いが近いできない子供は運動嫌いの子供だけではなく、運動は好きだという子供にも多くいます。この2つの違いを理解する能力は小学校に上がる前に身につけたい能力です。なぜならほとんどの4歳児はこの違いを理解するのは難しく、年齢とともに理解できるようになります。しかし、小学校に上がる前後でこの違いが理解できない子供は高学年になっても同じ失敗を繰り返します。

 たとえば「1/2捻り跳び-腰落ち」より「1/2捻り腰落ち」の方が高度な運動です。つまり組み合わせ運動の方がより難しい動作であり、それができるようになる方が、よいのですが、連続運動と組み合わせ運動の違いが理解できないと将来複雑な運動に発展させることは難しいと思います。

 たとえばテニスにボレーという技術があります。これはボールを打つのではなくラケットにあてて跳ね返す運動です。安定したボレーを打つ瞬間は打点に視線を残すことが重要と言われています。ボールから視線をはずさないで打つことが正確にラケットにあてるのに必要だからです。しかしテニスでは打ったボールを相手が打ち返しますので、ボールを打った後はボールの行方を見て相手の動きを見なければなりません。ボールを当てるまでと、打った後では視線の位置が変わります。つまり連続運動をしなければならないのです。これを初心者はボレーする前に自分が打とうとしている方向をみてしまい、しばしばボレーを失敗します。これは連続運動を組み合わせ運動にしてしまう失敗といえます。つまり連続運動を組み合わせ運動にしてしまうと失敗してしまいます。連続運動をするのか組み合わせ運動をするのかを区別するのは非常に重要な技術となります。

 トランポリンは10種目連続で行うスポーツで、連続運動を組み合わせ運動にしてしまうと失敗となります。つまり他のスポーツより連続運動と組み合わせ運動の区別が明確に行われる運動です。幼少時に連続運動と組み合わせ運動の区別をつけるトレーニングを行うことは将来非常に役立つトレーニングであります。

 

2020年

1月

16日

最後に

 バッジテスト解体新書(実技編)はこれにて終了です。日本協会の指導者マニュアルには常に転移を意識して指導するように書かれています。転移というのはある運動がほかの運動に役立つことです。実技編の目的はバッジテストで行っている種目の運動を分解(解体)し、それがほかのどんなスポーツに役立つか、つまり転移ができるかどうかを解説していく事にありました。しかし実際書いてみると転移を説明できることは少なく非常に苦労しました。トランポリンの指導者の皆さん、指導している運動がどのように転移し、他のスポーツに役立つか説明できますか?

 実技編はこれで終了としますが、バッジテスト解体新書はこれで終わりではなく、まだ補足したいことがあります。現在、展望編として構想中です。まとまりましたらホームページ上で再開します。