はじめに

2014年

2月

07日

本ブログの目的

 平成20年を「トランポリン普及元年」と称して、普及指導員の講習テキストが大幅に改定されました。従前から普及指導員の方は聴講して改定部分を勉強する必要がありますが、聴講は義務となっておらず、時間的に余裕のない方も多くいますので、未聴講の方も多くいるようです。そのような方は本来新テキストを購入して独学する必要があります。しかし社会人指導者の中にはそのような時間をとれない方も多くおられることでしょう。

逆に改定後に普及指導員になられた方は昔の資料を入手することは難しく、改定前の内容を把握することは困難でトランポリン普及指導員制度の変遷や歴史的価値を勉強することは難しくなっています。

 そのような方向けに、改定部分を抜き書きし、補足説明することにより普及指導員の資質向上に役立てる目的でこのブログを始めることとしました。

なお、比較に用いたのは普及元年前の「トランポリン 普及指導員教本(二種)」(平成13年改訂版)と普及元年の大改訂後の「トランポリン公認普及指導員資格認定講習会教本」(平成221月発行)です。

2014年

2月

14日

付属資料

 まず講習資料の違いについて書きます。普及指導員講習教本の内容も変わりましたが、添付されている副読資料も大きく変わっています。

 旧 『エアリアル・トレーニング 子どものトランポリン運動』 塩野尚文 道和書院

 新 普及元年 トランポリン運動の「全国普及元年」

   全国普及の布石は完了・次は実行

   子どもの指導にかかわる発想の転換

   なぜ国体参加を急ぐのか

 

 改定により従来副読本としてついていた『エアリアル・トレーニング 子どものトランポリン運動』がなくなりました。この本には、バッジテストの合格基準やシャトルゲームなどについての詳細解説、そしてエアリアル・トレーニングに欠かせない資料である「スキャモンの発育・発達曲線」など教本本体には載っていない重要なポイントが掲載されていましたが、改定後の資料にはそれらの情報は掲載されていません。そのため、改定後普及指導員になる人は「エアリアル・トレーニング 子どものトランポリン運動」を入手して勉強する必要があります。

 改定後の添付資料については、全て改定にかかわる部分の説明になっていますので熟読する必要があります。

なお、「全国普及の布石は完了・次は実行」、「なぜ国体参加を急ぐのか」については広報誌に掲載されています。

http://www.japan-trampoline.com/jgapdf/koho/kouhou75.pdf

http://www.japan-trampoline.com/jgapdf/koho/kouhou76.pdf

 

しかし、日本トランポリン協会のホームページに掲載されダウンロードできた“普及元年 トランポリン運動の「全国普及元年」”、“子どもの指導にかかわる発想の転換”は、日本体操協会になってからホームページも日本体操協会のものになり、その後検索しても見当たらなくなっています。

2014年

2月

21日

普及元年

前回紹介した“普及元年 トランポリン運動の「全国普及元年」”は以前日本トランポリン協会のホームページからダウンロードできましたので、お持ちの方も多いと思います。 

しかし、実際普及指導員講習で渡されるものはホームページに掲載されたものより追加改訂されていますので、今回はその部分について説明しておきます。

 競技者育成について6項目に以下の項目が追加され7項目となっています。

「先輩コーチは未普及県における後輩コーチ・選手の育成(競技普及)に積極的に汗をかかねば、国体参加は望めません。」

 また「競技選手育成プログラム」がなかったことによる普及指導員の立場からの弊害に関する記述が7項目が4項目追加になり、11項目となっています。

 追加になった4項目の概要は以下の通りです。

 1)私営のトランポリンセンター(寺子屋トランポリン)の経営を成り立たせるための方法

 2)教本の改定と「子どもの指導にかかわる発想の転換」を熟読すること

 3)競技検定に関するもの

 4)「全国普及元年」にあたり、全国展開と国体参加について

2014年

2月

28日

バッジテスト

 大きな変更ではありませんが、改定前は「バッヂ・テスト」とよばれていたエアリアル・トレーニングの試験制度が「バッジテスト」と名称が変更されています。

 「ヂ」→「ジ」に変更され、且つ途中にあった「・」がなくなっています。

 バッジテストを実施する際には、要項などまだ未修正で作られているところも見受けられますが、公式行事として行うので、表記に変更があったことは注意して開催するべきです。

 次回からは教本の内容について改定部分について説明していきます。

2014年

3月

07日

「はじめに」-その1.概要

 改定部分として、以下の4項目が追加されています。

①    スポーツに親しむきっかけづくりとしてのトランポリン運動指導。

②    障害(知的・身体)のある人々に対するトランポリン運動の指導(限定)。

③    宙返りを含まないレベルのトランポリン選手の指導(競技検定)。

④    トランポリン・シャトル競技の選手の指導。

 

また(注)が2項目から②障がい者指導に関する注意事項が追加され3項目になっています。(注1)についても③の選手指導の追加に伴い、内容が変更になっています。

なお、資格制度として以前は普及指導員(2種・1)と普及指導士という3つの資格がありましたが、今回の改定前に資格制度が変更済みであり、普及指導員の1つになっていますので、その部分が修正されています。

 

※「害」あるいは「碍」という字を用いることがありますが、これらの文字の印象の良くないということで「障がい」と表記することが一般的に行われていますので、このブログでもそれに準じています。ただし、「日本トランポリン協会」では「障害」という表記をしていますので、引用部分等はそのまま「障害」と表記としています。

2014年

3月

12日

「はじめに」-その2.きっかけづくりについて

 今回は、普及指導員の指導範囲に新設された「スポーツに親しむきっかけづくりとしてのトランポリン指導」について書きます。

 文部科学省の小中学生の体力調査などによると、子どもの運動能力が低下していること、部活やスポーツクラブでかなり運動すること全くしない子の二極化が進んでいるといわれています。

 運動を全くしない子、運動が苦手な子に運動するきっかけを作り、運動に親しませることが、現代社会において非常に重要なテーマとなっています。それを受けて普及指導員の指導範囲として「スポーツに親しむきっかけづくりとしてのトランポリン指導」が追加されたのではないかと思います。

 それに合わせて、参考資料の“普及元年 トランポリン運動の「全国普及元年」”にあるように、私営トランポリンセンター(寺子屋トランポリン)の経営を成り立たせるために、スポーツをしたがらない子供に対して「スポーツに親しむきかっかけづくり」にトランポリン運動を奨励するという意味合いもあるようです。

2014年

3月

19日

「はじめに」-その3.障がい者への指導

 障がい者の指導については改定前から、普及委員会内に「障害者部門」を設置し、全国スペシャル大会を開催しています。指導する種目の内容は、普及指導員の指導範囲(段階練習表1番~30番)または、そのレベルに準じたものとなる事から、普及指導員の指導の範囲と位置づけをしたそうです。しかし、障がい者への指導は研究の途上であり、日本トランポリン協会としては社会人のレクトラやバッジテスト向けに作成したような段階練習方法を策定していませんので、障がい者指導については、自己責任で行うこととしています(新教本注3参照)。

2014年

4月

11日

「はじめに」-その4.宙返りを含まないレベルのトランポリン選手指導

 改定前には、競技選手の指導や競技選手の裾野となる子どものレクトラについては、コーチの指導範囲としていましたが(旧教本の注1参照)、今回の改定により競技選手や子供のレクトラも普及指導員の指導範囲になりました。

ただし、「日本トランポリン協会制定トランポリン段階練習表(普及版)31番~60番以上の種目の指導に関しては、いかなる目的のもとに教えようとも、普及指導員の指導力の日本トランポリン協会公認範囲に含まれない。」(注2参照)としています。つまり、宙返りや背落ち系の種目を含まないレベルに限定されています(新教本の注1参照)。

 今回の改定で競技選手の指導が含まれたのは、「競技選手育成プログラム」が作られ、新たに「競技検定」制度が整備されたことと、国体参加に向けてトランポリン競技を全国展開するためでもあります。

2014年

4月

23日

「はじめに」-その5. トランポリン・シャトル競技の選手の指導

 改定前から社会人のレクトラについては、普及指導員の指導範囲とされていましたが、今回の改定では社会人のレクトラから独立してシャトル競技選手の育成も普及指導員の指導範囲とされています。

 これについては、シャトル競技が全国スポーツレクリエーション祭の正式種目になったこと、さらにトランポリン競技だけではなくシャトル競技も国体種目として参加することを狙っていたためのようです。残念ながらシャトル競技については国体種目にできる可能性がほとんどないため途中で国体参加種目としてシャトル競技はあきらめトランポリン競技に絞ったようです。

 なお、全国スポレク祭も引き受け都道府県が現れず自然消滅してしまいましたため、トランポリンは国家レベルで行う全国大会からは現状外れてしまっています。しかしながらシャトル競技は全国シャトル競技大会として継続されていますので、シャトル競技選手育成も今後普及指導員の重要な任務です。

2014年

4月

30日

「はじめに」-その6.ダブルミニトランプ

 以前書いたように、普及指導員の資格制度が改定されています。改定前の資格制度では、ダブルミニ・トランプを使った指導はトランポリン段階練習表(普及版)45番までの指導ができる普及指導員(1種)と明記され、2種の指導範囲ではないとされていましたが、改定後の教本では、ダブルミニ・トランプについては、わずかに器具の種類のところで触れられているだけで、資格に関しての記述がなくなっていますので、ダブルミニ・トランプの指導が普及指導員の指導範囲であるかどうかはよくわからない状態になっています。

 ダブルミニ・トランプの性能上・ルール上トランポリンと異なり、ドロップ系(○○落ち)の種目はできませんので、普及指導員の指導範囲の種目は捻り跳びと抱え・開脚・閉脚だけになります。明記されていませんが、ダブルミニ・トランプの指導は普及指導員の範囲ではなく、コーチの指導範囲と変更されたと思われます。