運動神経が良いってどんなこと?

 昔自分が指導者になりたてのころです。今は民間のトランポリン教室を経営し、指導を行っていますが、その当時は、公共体育館で活動するクラブで指導を行っていました。このようなクラブの場合、チラシや広告やインターネットなどで宣伝しなくとも、生徒の口コミで自然に生徒が集まってきます。つまり全く知らない人が入ってくることは珍しく、多くの生徒はどなたかの紹介で入ってきます。

 

 そのようにして入会してきたある生徒の話です。友達の紹介ですので、その子を知っている人も多くいます。その人たちがみな「今度は言ってくる子は運動神経がいい」と口をそろえて言っていました。でも実際指導してみると、運動神経がいいとは思えず、むしろかなり悪いと自分には思えました。

 

 その子はトランポリンを始める前にサッカーや水泳なども習っていました。また、同学年にしては体格がよくまた生まれつきなのか体幹がしっかりしていました。他の子より運動する機会が多くまた体格が良いので、脚も速く力もあったのでしょう。だから他の子よりもかけっこが速く、体が大きく強いので、運動をすれば勝つ機会が多かったのだと思います。しかし、一つのことが出来るまで他の子より時間がかかる子でした。

 

 なぜ、その子を知っている人は運動神経が良いといい、自分は運動神経が悪いと感じたのか。それは、観ている点が違ったからではないかと思います。その子の友人たちは、結果を見て成績が良いのを運動神経が良いととらえており、一方自分は、技能習得までの経過をみて評価を行っていた。その視点の違いが異なる評価を導き出したのだと思います。

 

 つまり、何を持って「運動神経がよい」といえるのか、それを整理し、きちんと定義しなければ、どうすれば運動神経が良くなるかとか運動神経がよいということはどんなことなのかという答えは出ないということです。