トランポリンの騒音

当クラブのホームページにはトランポリン全般についての問い合わせを受け付けています。そんな中に集合住宅でトランポリン(家庭用ミニトランポリン)を使う時の防音対策についての問い合わせがありました。

 

 

 

それに対する答えは、「個人レベルで防音を行うのは不可能」です。

 

 

 

それについて説明していきます。

 

日本建築学会などでは、建物で床で発生する音を、重量衝撃音と軽量衝撃音という2つの音に分類しています。重量、軽量とあるように床に落ちるものの重さで2種類に分類しているのです。重量衝撃音の代表は足音や子どもがソファなどから飛び降りたときなど重いものによる騒音で、軽量衝撃音というのは、椅子を引きずる音、スプーンなど軽量物が落ちたときの音です。

 

床をトランポリンに喩えてみましょう。トランポリンは緩衝力があり、体にかかる負担が少ないと言われています。でも仮に体重がありすぎて、ベッドが伸び切って床に衝突したらどうなるでしょうか? かなりの衝撃を受けると思います。

 

軽量衝撃音というのはトランポリンに喩えれば、トランポリンの使用では普通の状態つまり床にぶつかるまで下がっていない状態です。これに対して重量衝撃音というのは、床にぶつかってトランポリンとしての機能が果たせていない状態です。

 

 

 

床の防音対策ではコルクマットやゴムシートなどありますが、これらが防音効果が出せるのは軽量衝撃音だけです。これら防音対策製品は厚みがあまりなく、重量物が落ちてきたときにその厚さ内で衝撃を吸収しきれません。だから衝撃を吸収できるのは軽量衝撃音だけとなります。

 

家庭用トランポリンで跳びはねて発生する力は、トランポリンで吸収されるのではなく、床に伝わります。床から反力を受けるので、床面より沈み込んだりしないのです。

 

その衝撃音を吸収するには床自体にクッション性が必要です。

 

ここで、理科の授業で習ったフックの法則を引き合いに出してみましょう。

 

 フックの法則は力=ばね係数×変形量です。

 

 クッション性の高い材料というのは、柔らかいばねを意味していますので、ばね係数が小さいものです。同じ力を受けたときにばね係数が小さくなるとそれに反比例して変形量は大きくなります。

 

防音対策の製品はその厚み以上の変形を行うことはあり得ませんので、ばね係数を低くしてクッション性を高めても、変形量の限界を超えてしまえば、その機能を果たさなくなります。伸びきって地面にぶつかってしまってはトランポリンとしての性能を活かせないのと同じことです。

 

人がトランポリンで跳びはねるときに防音効果を発生するために必要な変形量は数センチではありません。防音効果を得られるほど変形量があるものをトランポリンの下に敷けば重量衝撃音も低減させることもできますが、その変形量は大きく、人が歩くと沈み込んでしまい歩きづらいぐらいの量になると思われます。そんなところでトランポリンを跳べば、トランポリンが沈み込んでしまい、トランポリンがぐらついてしまうことになると思われます。

 

日本建築学会が軽量衝撃音と重量衝撃音と床で発生する音を2つに分けているのも、日常生活を行ううえで支障のない範囲で対策が取れるものと、捕れないものがあるからです。

 

集合住宅で、トランポリン使用による重量衝撃音に対する防音対策は実現するのは不可能ですので、使用は避けたほうがよろしいでしょう。