2012年

9月

01日

ブログ開始

 「トランポリン広場 J-cube」のホームページご訪問ありがとうございます。たくさんの皆様のアクセスに感謝しております。アクセスの中には直接「トランポリン広場 J-cube」を訪れのは難しい遠方の方も多くいらっしゃいます。

 トランポリンのバッジテスト種目について多くの皆様が検索キーワードに用いていますので、当ホームページへのアクセスに感謝を込めてトランポリンバッジテストについて、ちょっと変わった視点での解説をブログ形式で始めます。

 タイトルは大きく構えて「バッジテスト解体新書」、内容はトランポリンバッジテストの歴史・取り巻く環境・目的などについて記した概要編と、種目の解説をする実技編の2部構成で行うつもりです。

 最後に、このブログの目的は冒頭に述べたように当ホームページの訪問者に対しての感謝の意を示したものであると同時に、このブログがトランポリンバッジテストの有効性を世間に広め、トランポリンの普及に貢献できればと考えております。

 半年ぐらいかけて掲載していく予定ですので、末永くおつきあいください。

2012年

9月

07日

トランポリン・バッジテストとは

 トランポリンを使ってこどもの運動能力・調整能力を高めるトレーニング手法を日本トランポリン協会が考案し、すべての児童にこのトレーニングを受けることを推奨しています。

 具体的な内容としては、以下の通りです。

 【5級】腰落ち→膝落ち→1/2捻り腰落ち→立つ→1/2捻り跳び→抱え跳び→腰落ち→1/2捻り膝落ち→腰落ち→立つ

 【4級】腰落ち→よつんばい落ち→腹落ち→膝落ち→立つ→開脚跳び→腰落ち→1/2捻りよつんばい落ち→1/2捻り腰落ち→立つ

 【3級】腰落ち→腹落ち→立つ→閉脚跳び→よつんばい落ち→腰落ち→1/2捻り腹落ち→立つ→開脚跳び→1回捻り跳び

 【2級】1/2捻り腰落ち→スイブルヒップス→腹落ち→腹落ち→立つ→閉脚跳び→腹落ち→腰落ち→ローラー→立つ

 【1級】1回捻り腰落ち→スイブルヒップス→1/2捻り立つ→開脚跳び→1/2捻り腹落ち→ターンテーブル→立つ→抱え跳び→1回捻り跳び→反動閉脚跳び

 以上のようにすべて、10個の技を連続で行う内容となっています。

 

2012年

9月

14日

このブログを書くにあたって

 前回、具体的なメニューを書きました。これはトランポリンの普及指導員を始めトランポリン関係者はよく知っていますが、こどもの素養づくりによいと言われる割には、具体的にどんな効果があるのかまでは、説明がなされております。実際、日本トランポリン協会公認の普及指導員として、トレーニング手法に基づいて子供を指導しており、その効果を実感していますが、トランポリン・トレーニングの具体的な有効性を解説した資料がなく、今ひとつトランポリン運動を世間一般に勧めて行くにあたって、説得力に欠ける状況が続いています。

 そこで、トランポリンを使ったこどもの素養づくり手法(トランポリン・エアリアルトレーニング)について、どんなことを行い、それにどんな意味・効果があるのかを解説していきたいと思います。

 

2012年

9月

15日

このブログを書くにあたって2

 トランポリン広場J-cubeのホームページには、トランポリンに関する書籍を紹介しています。これらの本のほとんどを読みましたが、これらの本だけで、資格を取ればいざ指導が始められるかというとかなり疑問です。はっきりいって、普及指導員のテキストがあっても、普及指導員を取得した時点で自分が指導者になれるとは思っていませんでした。

 指導者になった時、資料を探してみましたが、大先生方には失礼な話かと思いますが、これだという資料は見つかりませんでした。先輩指導者にいろいろ教わりながら、指導に携わっていくしかありませんでした。つまり実地でしか指導方法が伝わっていかないのです。

 そこで、常日頃、指導者としてどう指導すればよいのか、あるいは生徒としてどう練習すれば、できるようになるのかまで解説された資料の必要性を痛感しております。そこで、自分で指導マニュアルを作成してみたいという野望が生まれました。

 このブログはその前段階の物で、指導や練習方法ではなく、トランポリンバッジテストに含まれる各種目がどんな運動であるかとかどんな意味を持っているのかを解説していこうと思っています。

 どんな運動であるか、どんな意味のある運動かを理解した上で、指導に当たることが指導者として必要だと思うからです。このブログはバッジテストの段階練習にそって解説していきますので、バッジテスト1級そしてトランポリンシャトルゲームについて解説までを行えば完了します。

 もし完了まで続けられたら、その後は指導者の立場からどう指導していけばよい、指導のポイントなどについてのブログを始めようと思っています。まずはこのブログを完了させること、そしてその後指導者マニュアルになるような物を書く、そうすることによって、トランポリンの普及に貢献していきたいと考えています。

 

2012年

9月

21日

タイトルについて

 このブログはトランポリン・エアリアルトレーニングを解説し、その有効性を広めるために書いております。

 なお、この運動処方は正式には「こどもの素養づくり」または「トランポリン・エアリアルトレーニング」というのですが、一般には「トランポリン・バッジテスト」と呼ばれていますので(以前は「バッヂテスト」でしたが、最近「バッジテスト」に変更)、タイトルも「トランポリン・バッジテスト 解体新書」というタイトルにしました。

 なお、「トランポリン・エアリアルトレーニング」の運動処方は、「トランポリン・バッジテスト」+「トランポリン・シャトルゲーム」の2つから構成されています。ただし、後者の「トランポリン・シャトルゲーム」については、あまり実施されていないため、片手落ちの状態が続いています。

 タイトルは「トランポリン・バッジテスト 解体新書」としておりますが、「トランポリン・エアリアルトレーニング」の最終メニューである「トランポリン・シャトルゲーム」についても、最後にて解説していく予定です。

 

2012年

9月

24日

バッジテストを取り巻く環境1(普及元年以前)

 バッジテストを書くにあたって、バッジテストを取り巻く環境の変化について予備知識として整理しておきます。

 まず、日本トランポリン協会では平成20年(2008年)をトランポリン普及元年としています。そこで、普及元年以前・普及元年・普及元年以降の3つの時期がありますので、それぞれについて書いていきます。

 まず、普及元年以前ですが、これ以前にもトランポリンの普及指導員制度は存在し、普及指導員による普及活動は行われていました。

 この時期はトランポリンを競技と普及と2つに分けて考えていました。ここで、競技とはチャンピオンスポーツとしての競技を意味し、普及とは社会人のレクレーション・トランポリン(レクトラ)と、こどものトランポリン・エアリアルトレーニング(こどもの素養づくり)、その他のトランポリンの利用法の3つが考えられていました。

 この時期にすでに、普及については、社会人向けの指導方法とこどもの素養づくり向けのエアリアルトレーニング指導法を確立し、普及指導員にその指導を行わせていました。しかし、現在と異なり、競技者向けの指導についてはコーチ任せで、実績のある指導者をコーチとして認定していました。つまり競技者向けの指導方法を日本トランポリン協会は確立しておらず、各コーチが独自に編み出したコーチングによる選手育成が行われていました。

 整理しますと、3つの利用法があるのに「競技」と「普及」の2つに分類されていて、普及の中にある社会人向けの指導とこどもの素養づくり向けの指導方法は確立していましたが、競技者向けの指導法が確立されていないという片手落ちの状態でした。こどもの競技者向けの指導方法は確立されていないため、競技指導を行わない普及指導員が指導するトランポリンクラブに入会すると、たとえトランポリン競技をしたい子であっても、素養づくりのためのバッジテストの指導が行われることになりました。つまり、最初にどこのクラブにはいるかでトランポリン選手になれるかなれないかが決まってしまうといえる状況になっていました。

 

2012年

9月

28日

バッジテストを取り巻く環境2(普及元年2008年)

 前回書いたように、普及元年以前には、競技向けの指導法は確立されておらず、競技コーチのいるクラブにはいれば、トランポリン競技者向けの指導、それもコーチ独自の指導法を受けることになり、コーチではなく普及指導員のいるクラブに入れば、こどもの素養づくり向けのバッジテストの練習指導がなされ、トランポリン選手になるための道は開けないような状態になっていました。

 もう1つ大きな問題がありました。本来トランポリン・エアリアルトレーニングはトランポリン競技のための練習法ではなく、こどもの素養づくり、体幹トレーニングや調整能力トレーニングのための練習方法です。だからすべての児童に受けて、メニュー終了後はそれぞれが進みたいスポーツへ進んで頂くことを目的としていました。これは日本トランポリン協会が他のスポーツ協会と異なる点です。

 しかし、指導メニューが整備されなかったため、他のスポーツ指導者からすると広く集めて、優秀な子をトランポリン選手に抜き取るようなシステムのようにみえ、他のスポーツをする子に採用されにくいものとなっていました。

 そこで普及元年では3つの大きな改正が行われました。まず、競技者向けの指導法を作成したことです。もう1つはエアリアルトレーニングに、ボールトレーニングを取り入れることにより、他のスポーツへより転用できるトレーニングへと進化させたことです。

 競技者向け指導法ができたことにより、個々のコーチの指導法ではなく、日本全体で選手を育成し、国際競争力を高めることができるようになりました。また、競技者向け指導のうち、宙返りを含まない段階までの指導も普及指導員の指導範囲に含めることにより、競技コーチのいないトランポリンクラブに入会した子供でもトランポリン選手への道が開けることになりました。さらに、エアリアルトレーニングとの違いが明確になり、バッジテストがトランポリン選手育成のためのものではないことを他のスポーツ指導者にアピールできるようになりました。

 

2012年

9月

30日

バッジテストを取り巻く環境3(普及元年2008年 その2)

 今回はバッジテストの内容とはあまり関係のない話題ですが、取り巻く環境としては今後非常に重要な情報ですので、今回あえて取り上げます。

 前回普及元年には3つの大きな改正点があると書きましたが、前回は2つしか紹介しませんでした。残る3つ目の改正点ですが、これは私営トランポリンセンター(寺子屋トランポリン)の推奨です。トランポリンクラブの多くは、公共体育館での活動していました関係上練習場所の確保が非常に困難でした。そのため、エアリアルトレーニングを終了した子供を強制的にトランポリンを卒業させなければ、新しい子供を受け入れる体制がとれませんでした。また、十分な競技選手にも十分な練習時間を与えることも困難でした。

 私営トランポリンセンターを全国に設立していけば、練習場所の確保でき、より多くの子供にエアリアルトレーニングを提供でき、また競技選手によりよい練習環境を与えることができます。

 これについては、私営トランポリンセンターの成功例として、千葉県のスポーツクラブ テン・フォーティや福岡県のスペース・ウォークの成功があります。ともに少数先鋭で指導しなければならない競技選手育成を行いつつ、幅広い子供を対象にしたエアリアルトレーニングを提供することにより経営基盤を確立させています。これらの成功例により、よりよいトランポリン練習環境の創設が可能であることがわかり、それが推奨へとつながっています。

 さらに、私営トランポリンセンターというものができることにより、トランポリンを職業とする人が生まれました。職業とするためには、自分の商品を広く世間に知ってもらう必要がありますので、トランポリン・エアリアルトレーニングがどれだけ有効であるかを説明することは重要です。

 といわけで、このブログは私営トランポリンセンターの指導者によりかかれています。本当は協会がもっとこういう話題を世間にピーアールしてくれれば、いいのですが、人任せでは話は進みませんので、自ら書いてみました。多分に私営トランポリンセンターの推奨の影響でこのブログは生まれたといえます。

 

2012年

10月

05日

バッジテストを取り巻く環境(普及元年~2011年)

 普及元年として大きな改革が行われましたが、改革はそれで終わりではありません。

 普及元年以前は3つあるのに「競技」と「普及」の2つに分類し、「普及」のなかに社会人向けと、子供向けの指導法が作られていました。「普及」の中に特に、「シャトル」として、社会人向けの専門部門が作られていました。このときは、選手向けの指導法はありませんでした。

 普及元年では「競技」が「競技普及」、「普及」が「運動普及」と名称が変わりました。

 「競技普及」を行う上で必要な選手育成の指導法がつくられ、また従来「こどものレクレーショントランポリン」としてあまり大きく取り上げられなかった部分が、「宙返りを含まない競技選手育成」と名称が変わり、「普及」「競技」のどちらか曖昧だったのが、正式に「競技普及」に位置づけられました。

 一方、「普及」については、普及元年以前から勧められていました障害者向けのトレーニングも「運動普及」の重要な部分として位置づけられました。また、「シャトル」として専門部門になっていた社会人のレクトラが縮小され専門部門でなくなり、代わって子供向けの「バッジ」が専門部門として作られように方向性が示されました。つまり、この時点ではバッジの比重が大きくなっています。

 さらに、普及元年以降にも改革は続いており、「社会人のレクトラ」も「こどものレクトラ」同様、「競技普及」へ配置換えをする方向で進んでいます。つまり、「競技普及」は選手育成1本から選手育成とレクトラの2本立てになり、「運動普及」の中心は、こどものエアリアルトレーニングで、それに障害者向けのトレーニングが2つ目となってきています。    

 この分類は言い換えれば、シャトル競技を含めてトランポリンというスポーツの愛好者が行うトランポリン競技(競技普及)と、トランポリンという器具を使ったトレーニングを行うトランポリン利用(運動普及)という分類となります。この分類は非常にすっきりする分類だと思います。

 こうなった背景には、エアリアルトレーニングの重要性がより認識されたものと思われますし、「競技普及」、「運動普及」両方に携わる事になった普及指導員が非常に期待されていることがわかります。

 

2012年

10月

12日

子どものレクリエーショントランポリンを取り巻く環境1

 今回は、バッジテストから離れて子どものレクリエーショントランポリン(レクトラ)について書きます。ところで、バッジテストがレクトラだと思っている人が結構いますがこれは間違いです。レクトラとバッジテストは全く目的も指導法も異なる物ですから。

 なぜ混同することが多いかというと「トランポリン普及元年」以前は子どものレクトラ向けの指導法がなかったからです。

 レクトラとはトランポリンというスポーツを愛好する者が行うものです。

 ところで、トランポリン以外のほとんどのスポーツはトランポリンエアリアルトレーニングに相当するメニューを持っていません。トランポリンエアリアルトレーニングはすべての子どもを対象に他のスポーツにも適用できる運動能力を開発することを目的に作られたものであって、トランポリン選手育成のために作られたものではありません。

 他のスポーツでは、内容は似たようなメニューを持っていたとしてもそれはたいていそのスポーツのベースを作るためのメニューです。トランポリンでは他のスポーツに適用することを前提にしたメニューは持っていても、他のスポーツでは当たり前にあるスポーツとしてのトランポリンを指導するメニューがなかったのです。ここが他のスポーツとトランポリンの大きな違いです。

 

2012年

10月

15日

子どものレクリエーショントランポリンを取り巻く環境2

 「トランポリン普及元年」に「宙返りを含まない競技選手育成」の指導法が作成されました。これが子供のトランポリン愛好者(レクトラ)向けのメニューです。普及元年以前レクトラ向けの指導法がなかったため、チャンピオンスポーツとしての競技指向の強い競技育成になるか、トランポリン以外のスポーツのためのトレーニングメニューであるバッジテストをするかのどちらかであり、また指導者の多くは後者に対応した普及指導員であったため、たとえトランポリンというスポーツ(トランポリン競技)をしたくとも、バッジテスト(トランポリンを用いた運動トレーニング)を受けざるを得ない状況が生まれてしまいました。

 そしてバッジテストは全メニューを完了したものは、トランポリンを卒業することになっています。しかしこの段階になってもトランポリン愛好者ならもっとトランポリンを続けたがるのは当然です。本来このような子どもは他のスポーツ同様に、スポーツとしてのトランポリンすなわちトランポリン競技向けの指導をしてあげるべきでしたが、その方法がなかったため、ミスマッチングな状況が生まれました。

 最終的には、このような子どもがレクトラ嗜好の子どもと認識され、競技選手としてもエアリアルトレーニングの観点からも、中途半端なものとして扱われるようになりました。

 「トランポリン普及元年」ではこのようなトランポリンというスポーツ自体をすることを目指す子ども向けの指導メニューと「競技検定」というシステムが作成され、またこのメニューは宙返りを指導するコーチだけではなく、宙返りを指導できない普及指導員の指導範囲とされたことにより、指導方法上も、指導者面でも整備されました。これによって、今まで邪魔者であった子どものレクトラは、トランポリン競技の裾野拡大のための重要なポジションに位置づけられました。

 

2012年

10月

19日

スポーツとトレーニング

 今まで何回も、スポーツとトレーニングという用語を使ってきました。ここで、スポーツとトレーニングについて整理しておきます。

 まず、「トランポリンバッジテスト」はスポーツではありません。こういわれるとおかしいと思う方も多いことでしょうが、バッジテストはスポーツではありません。バッジテストは「トランポリンエアリアルトレーニング」のシステムの一部ですので、バッジテストはトレーニングです。

 まず、スポーツとは何かについて説明しましょう。スポーツ宣言では、スポーツを「遊戯の性格を持ち、自己または他人との競争、あるいは自然の障害との対決を含む運動」と定義しています。バッジテストは競争したり、対決したりするものではありません。つまりバッジテストを受けること、トランポリンエアリアルトレーニングを受けることは、運動をしてはいますが、スポーツ自体をしているのではないのです。

 一方トレーニングというのは、何かのために身体の一部などを鍛えることです。バッジテストは子どもの素養づくり、エアリアルトレーニングと言うように子どもの運動神経開発、運動能力を向上するために、受けるものです。

 また、一般にスポーツはそれをしてみたい人、行うことが好きなものが自発的に行うものといわれていますが、バッジテストはすべての児童を対象に行わさせたいもの、すなわちトランポリンの好き嫌いにかかわらず受けさせることが推奨させているものです。これからもスポーツでないことは明らかです。

 トレーニングなので、トレーニングメニューが終了した後は、卒業することになっているのです。

 

2012年

11月

02日

トランポリンの練習3原則

 トランポリンを練習するにあたっては、3つの原則があります。それは段階練習、反復練習、連続練習です。この原則に従ってバッジテスト練習帳は作られています。

 でも、予備知識として3大原則について知っておくことは有効ですので、次回より3大原則について解説していきます。

 

2012年

11月

05日

段階練習とは

 段階練習とは基本的に簡単な技から難しい技、安全な技から危険度の高い技、低い姿勢から高い姿勢、といったより安全に行える技から徐々に難しい技へと段階を追って練習することです。なお、バッジ練習帳では1~40番となっていますが、実際はもっときめ細かい段階練習が行われています。

 

2012年

11月

07日

反復練習とは

 技ができるようになるには、まず、1)何となく・たまたまできる段階に始まり、2)確率が高くできる段階、そして3)意識すれば自由にできる段階(コントロール技術の完成)、4)考えないでも無意識にできる段階(運動の自動化)へと徐々に完成度を高めていきます。

 なお、競技選手育成は最後の4のレベルまで完成度を高めなければなりませんが、バッジテストの主目的であるこどもの素養づくりでは、3の段階まで行うことになっており、4の段階まで行ってしまうと、後に行う他のスポーツに悪影響が出る可能性がありますので、無意識にできる段階=自動的に行える神経回路が形成される段階になるほど反復練習させてはいけないことになっています。バッジテストクラブで4の段階まで反復練習させてしまった場合、トレーニング指導が失敗したと言うことになります。

 

2012年

11月

09日

連続練習とは

 トランポリンの連続跳躍では、着地はその技の最後であるだけではなく、次の技を実施するための準備となります。1つの技がきちんと終了して初めて次の技へとつなげることができますので、連続練習を行うことにより、最後の技以外の技がきちんと完了していることが確認できます。最初は3つの技の連続を行い、2つ目の技が完成しているかどうかを見ることがよく行われております。これは1種目目をストレートジャンプ(垂直跳び)ではない種目を行うことにより、2種目目に入れることの確認、3種目目がきちんと入れることにより2種目目がきちんとできていることの確認とするためです。また「腰落ち-立つ」のように2種目セットの種目もありますので、3種目以上連続で行うことが一般的です。

 なお、連続種目で失敗した場合、たいていはその前の種目の完成度が低かったために失敗していることが非常に多いということはよく覚えておきましょう。つまり失敗した種目の練習ではなくその前の種目の練習が必要と言うことです。それを知らないで失敗した種目の練習ばかりしても効果は上がりませんので。

 

2013年

11月

07日

3つの運動 その4 総括2

 前回は、トランポリン・エアリアルトレーニングにも限界があり、他の道具を使う必要もあると書きました。今回は、トランポリン・エアリアルトレーニングが他の運動より優れている点を説明します。

 一般的にトランポリントレーニングの利点は、他のスポーツではなかなか多くできない、体軸平行運動を集中的に行える点にあり、しかも跳躍に必要な脚力がない幼児でも容易に跳べることから、支えのない空中経験が得られることが利点であるとされています。

 しかし、トランポリン運動が優れている点は、それだけではありません。

 以前、トランポリン運動の宙返りでは、体軸平行運動と左右軸回りの回転運動の2つで行われるが、器械体操運動(床運動)では同じ宙返りでもその2つに加えて前後軸平行運動が合わさった3つの運動組み合わせになると書きました。この点は非常に重要です。

 もう1つ重要な点は、水泳やトランポリン運動は基本動作が体軸平行運動であり他の多くのスポーツは前後軸と左右軸の平行運動の2つの組み合わせであるということです。

 トランポリン運動の特徴は、回転運動と平行運動の組み合わせ数が、他の運動より少ないという点にあります。つまりシンプルなのです。

 小さな子供は、複雑な動きができません。できるだけ単純な動作を経験させ、徐々にその組み合わせにより複雑な運動へと導いていくことがこどもの素養づくりに対しては重要です。つまり、動作がシンプルな運動から始めて、徐々に複雑な動きを経験させていくことが非常に役立ちますので、動作がシンプルなトランポリン運動は、運動初期のトレーニングに非常に役立ちます。それに加えて、トランポリン・エアリアルトレーニングでは簡単な動作から複雑な動作へと段階練習をするようになっていますので、非常に良質なこどもの素養づくりトレーニングであるといえます。

2013年

11月

14日

3つの運動 その4 総括3

 トランポリン運動の特徴として、縦軸平行運動主体の運動であること、回転運動と平行運動の組み合わせがシンプルであることを前回書きました。これに加えてトランポリンの特徴として、捻りを除けば、左右対称運動であることが挙げられます。トランポリンは他のスポーツに比べ左右対称運動が多いことが特徴です。

 たとえば走るということは、一見左右対称の運動ですが、運動をする際の一瞬をとらえれば、片側が前に出ていますので、左右対称ではありません。水泳ではバラフライや平泳ぎは左右対称ですが、クロール・背泳ぎは完全な左右対称運動ではありません。これらは左右交互運動です。

 一般には両方の足を前に出すなどの運動をすることはきわめて少ないです。鉄棒などを用いればできますが、かなりの筋力が必要です。しかしトランポリンでは両脚を前に出すといった運動が容易にできます。つまり、トランポリンを利用すれば他のスポーツではなかなか経験できない運動が可能と言うことです。

 基礎運動能力の開発にトランポリンを用いた左右対称運動を取り入れ、左右バランスのよい肉体を作ることは非常に有効と思われます。

2013年

12月

19日

バッジテスト段階練習

 トランポリンの種目練習は簡単な技から徐々に難しい技、安全な技から高度な技へと段階を追って練習させることになっています。子どものエアリアルトレーニングの段階練習は以下40段階となっています(この他最近追加されたボールトレーニングがあります)。すべてできると、シャトルゲームに参加できることになっています。シャトルゲームに3回参加すれば、エアリアルトレーニングは終了して修了証をもらえることになっています。

 各段階を実際練習するにあたっては、もっと細かい段階練習が必要ですが、この段階練習に沿って、トランポリン・エアリアルトレーニングを解説していく予定です。

 1.10回ジャンプ-チェック

 2.1/2捻り跳び

 3.かかえ跳び

 4.腰落ち

 5.膝落ち

 6.膝落ち-1/2捻り跳び

 7.5級 1-4

 8.5級 7-10

 9.5級 5-10

10.5級 1-10

11.開脚跳び

12.よつんばい落ち

13.よつんばい落ち-腹落ち-膝落ち

14.4級 1-6

15.4級 6-10

16.4級 1-10

17.腰落ち-腹落ち

18.閉脚跳び

19.腰落ち-1/2腹落ち

20.1回捻り跳び

21.開脚-1回捻り跳び

22.3級 4-10

23.3級 1-10

(3級 ボールトレーニング)

24.スイブル

25.1/2腰落ち-スイブル

26.腰落ち-腹落ち-腹落ち

27.2級 1-6

28.腹落ち

29.腹落ち-腰落ち

30.ローラー

31.2級 6-10

32.2級 1-10

(2級ボールトレーニング)

33.フルシート

34.1級 1-4

35.1/2腹落ち

36.ターンテーブル

37.反動閉脚跳び

38.1級 8-10

39.1級 4-10

40.1級 1-10

(1級ボールトレーニング)

シャトルゲーム

2014年

1月

16日

段階練習1 10回ジャンプ-チェック(3)

 今回もストレートジャンプです。空中で重心移動を行うとその方向に移動します。重心移動というのは、身体を変形することにより起こります。頭を下げる、腰を引くなどの動作をするとその方向に重心が移動しますので、その方向に身体も移動します。

 トランポリンで同じ場所で跳び続けるには、姿勢が大事です。そして支えのない空中で姿勢を維持するためには、腹筋・背筋をはじめとしたインナーマッスルを使うことになります。インナーマッスルを使うことにより普段の姿勢もよくなります。

 よい姿勢を作るのにストレートジャンプが最適です。

2014年

1月

23日

段階練習1 10回ジャンプ-チェック(4)

 段階練習1の最後です。今回はジャンプではなくチェックです。チェックとは停止する技術です。この技術を習得しなければ、安全に止まることができないので、トランポリンの練習を続けることはできないという非常に大事な技術です。

 チェックの技術とは、トランポリンの反発力を殺す技術です。一般には膝を曲げてそれに伴い足首・腰も連動させて、トランポリンの反発力を吸収する技術です。この吸収のタイミングが悪いと変な方向にとばされたり、ずっこけたりします。

 ジャンプが反発力を生かすための技術なら、チェックは反発力を殺す技術です。反発力を生かすには以前書いたように膝をまっすぐにしておけばよいのですが、殺すにはタイミングが必要です。つまりチェックとは自分の身体を使って、他の物(トランポリン)をコントロールする技術となります。

 トランポリンのトレーニングではあまり他の物をコントロールする動作は行いません。トランポリントレーニング中、他の物をコントロールする貴重な動作がチェックという動作です。

2014年

1月

30日

段階練習2 1/2捻り跳び(1)

 1/2捻り跳びは体軸回りの回転動作です。回転動作に必要な動きとしては、①回転力を発生させる、②回転を維持する、③回転を停止させる、以上の三つの動作が必要です。

 強い回転力を発生させる方法は2つの動作の組み合わせにより行われます。まず、1つは体軸回りにねじれを発生させてそれを戻す事により回転力を得ること、もう1つは回転半径を大きくすることです。①の体軸回りにねじれを発生させるのは、テニスのテイクバックをする動作で顕著に見られます。②の回転半径を大きくするのは、フィギュアスケートで顕著に見られます。回転の開始時に脚を伸ばしているのは、回転半径を大きくとり、てこの原理により強い回転力を発生させるためです。

 トランポリンでの捻りでは、回転の発生箇所は腰です。腰はあまり大きな回転半径はありませんし、腰部分は、重心に近い位置にあるため、体軸回りのねじれをほとんど発生しません。でもトランポリンでは、抵抗力の少ない空中で行うため、小さな動作で十分な回転力が得られます。

 このように、大きな動作をしなくとも回転力が発生できるのがトランポリン運動の特徴です。そしてトランポリンで得られた回転運動経験をベースとして、より強い回転力を発生させる運動へと発展させることは、より強い回転運動を生み出せる物と考えられます。